SSブログ

変わらぬ気持ちに揺れる心-山田太一ドラマスペシャル「遠まわりの雨」 [ドラマ]

亀田興毅の世界戦の裏で、渡辺謙、夏川結衣主演のスペシャルドラマがありました。
設定されたシチュエーションが、とても興味深く、
円熟の俳優の演技と共に、最後まで楽しめました^^

「遠まわりの雨」、かつての黄金のトライアングルが20年ぶりに復活する物語です。
黄金のトライアングルとは、親友と思いを寄せている女の子が同時に身近に存在する状況です。
そして、ふたりの男の子はふたりとも同じ女の子に思いを寄せていて、
それぞれの立ち位置がはっきりしてしまうまでの、はかなくも美しい時間のことです。

遠まわりの雨夏川結衣2.jpg

この物語では、その復活を主導したのは女の子の方でした。
小さな工場の社長の妻(夏川結衣)が、仕事上のどうしようもない事情から、
かつて夫(岸谷五朗)と共にトライアングルをつくっていた男(渡辺謙)に
20年ぶりに会いに行き、自らの工場に呼びます。
しかし、そのどうしようもない事情、
夏川結衣にとっては20年ずっと探し続けていた、再会のための言い訳でもあったようで…

昔好きだった人を、多くの時を経ても忘れないなんて、
男の専売特許だろうと思いますが、
もし、女の人がそういう気持ちでいてくれたなら、それは男の夢で、
どんな口実でもいいからつくって呼んでくれたら、
男はホイホイ行ってしまうでしょう。
私でも、だぶん、行っちゃいます^^;
だから、これは男の夢が叶う寓話かな。
そのためか、ところどころの夏川結衣の言動にも、
男の願いが込められているようなところがあると思いました。

遠まわりの雨渡辺謙.jpg

そもそも、現実には女性にとって20年というのは重いですよね。
夏川結衣だから、20年経っても会いに行く勇気が出るだけの美貌があるし、
渡辺謙の方にも、まだ男っ気が残っているから成り立つ話かもしれません。
まして、久しぶりにホテルのレストランでふたりきりになったとたん、
女の方から「部屋に行こう」って、そういうメンタリティなものなのかなぁ。
いくらどうしようもない事情で仕事を頼むという引け目が口実としてあったとしても、
そこまで安売りしない様に思うし、
押さえきれない思いがあったとしても、もっと遠回しに相手を導くようにするのではないでしょうか?
どうでしょう?
男の方としては、こんな簡単に相手の気持ちが確認できれば、
嬉しくって、たまりませんけど。

遠まわりの雨夏川結衣.jpg

ドラマでは、再び出会った後、その先のことに踏み込むかどうかについて、
ふたりきりで過ごすたびに問答を繰り返します。
この問答が、理屈命だった昭和の人間らしくて最高でした(笑)
気持ちは求めていても、理屈が通らないと進まないんですよね~
平成の今の人たちなら、あんな問答なんてしないんだろうな~^^;

男でも、かつて好きだった人に再び出会うシーンまでは夢見ますが、
さすがに、そこからまたどうやって別れるかまでは考えたりしないはず。
終盤の話で興味深かったのは、その終わりの部分が描かれていたことです。
明日も会えるなら、明日こそと思えるから眠れる日々も、
会う言い訳のできる日の終わりが迫れば、
心が張り裂けるような気持ちになってしまいます。

遠まわりの雨渡辺謙夏川結衣.jpg

互いの立場を考え、
「君をナンパする元気もない・・・」という渡辺謙に、夏川結衣は、
「今だけ・・・」と。
こう言ってもらうのも、男の夢ですが、
私の解釈では、女性の「今だけ(いい)・・・」は、単なる言い訳で、
その心は、ずっといいから今もいいとう気持ちを含んでいるような気がします。
だから、「今だけ・・・」というのは、未練たっぷりな言葉のように思います。
でも、ある程度年を重ねた男ならば、そう言われると別れの美学を追究してしまうと思うんですよね。
強がるというかなんというか。
そう考えると、ラストシーンで未練を残す描写は、夏川結衣の方が似合ったんじゃないかな~
どうでしょうか?

遠まわりの雨渡辺謙マフラー.jpg

このマフラー、どうやって巻いてるんでしょう?


渡辺謙主演 映画『沈まぬ太陽』ドキュメントブック

渡辺謙主演 映画『沈まぬ太陽』ドキュメントブック

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/10/16
  • メディア: 単行本


ブログトップへ戻る
nice!(97)  コメント(10)  トラックバック(1) 
共通テーマ:テレビ
@ミック-Thinking @ミック-Thinking 読者登録