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最終回、奇跡は誰に起こったか?-「八日目の蝉」 [八日目の蝉]

「八日目の蝉」、この母性をめぐる数奇な物語もついに最終回。
これまでは、ほぼ檀れいの一人称で語られてきた物語も、
最後に、大人になった少女の心情が語られる時がきました。
さらに、少女の回想を通して、実の母の心情と思えるものの描写もあったようです。

八日目の蝉板谷由夏.jpg

五年ぶりに救出された少女。
恵里菜っていう呼ばれ方に違和感がありましたね。
檀れいの影響を色濃く残す姿を見て、
再会した実母に、一瞬にして嫌悪されてしまいました。
そして、言葉遣いで再び嫌悪。
日常生活の節々に、
娘に対する愛情と檀れいへの憎しみがないまぜになった感情が、
実母から少女に浴びせられていたようです。
人と交わるとき、たとえ実の親子であろうとも、
心が合っていなければ幸福になれないのかもしれません。
取り戻す日を待ちに待った娘ではありましたが、
その待ちに待った気持、初めて実母を認識する娘には理解できようもなく、
そして母は、小豆島の美しい自然の中で溌溂と生きてきた娘の生活を知りようもなく、
溝を埋める術もないまま、互いが我慢の中で暮らすことを余儀なくされたようでした。
この親子の再会に、奇跡は起こらなかったようですね。

八日目の蝉北乃きい岸谷五朗.jpg

まがりなにりも実母のため、
檀れいのことを忘れるよう心がけていた北乃きいではありますが、
ただ一点、別れ際に発せられた檀れいの一言が気になる様子でしたね。
再び小豆島を訪れようと決心した理由は、たぶんそこでしょう。
島で再会した岸谷五朗が、北乃きいに伝えたその言葉。
とっても、日常的で素朴な言葉でした。
まるで、素朴な愛情こそ真の愛情とでも言いたげなその言葉に、
北乃きいの想い出は一気に蘇り、
檀れいと暮らした日々の出来事を思えば、
自分に宿る小さな命を大切にせずにいられない気分になったようでした。

八日目の蝉檀れい小豆島を眺める.jpg

そして、檀れい。
獄中で届けられない手紙を少女に書き、
出所後も少女と暮らした日々が忘れられず、対岸から島を眺めていました。
島を眺めてる顔、とってもきれいでしたね~
確かに、憶えている限り、想い出は永遠と思います。、
しかし、想い出だけで生きていけるほど、人は強くないのも確か
新しい生きる糧を見つけて欲しいと願わずにいられませんが、
そんな檀れいに、思いがけない偶然がやってきていました。

八日目の蝉檀れい再会.jpg

自分が母性のすべてを賭けて育てた少女を見かけたからと言って、
犯した罪を思えば、容易に声がかけられるものでもないと思います。
そして、母がその母性でずっと思い続けたからと言って、
声をかけた瞬間に、子も親と同じ思いでいてくれる可能性はものすごく低い。
そのことは、物語中でも、
坂井真紀と息子の再会や板谷由夏と娘の再会で語られていました。
あるいは一面を見れば、吉行和子と坂井真紀の再会でも語られていたと言えるかもしれません。
しかし、この時の北乃きい、きっと檀れいのことを考えていましたよね。
神様は、檀れいにだけ子と心を合わせられる奇跡をくれたようです。
罪を償った後に、親子同じ気持でいる時にまなざしを交わすことができ、本当によかったですね^^
北乃きいも、不実の子は宿しましたが、その先の罪は犯さないと強く心に決めたようでありました。

余談ですが、火曜日は来週から「ジェネラル・ルージュ…」に集中しようと思ってましたが、
予告編を見ると、NHKの次回作もなんとなく面白そう…どうしようかなぁ。

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